小説の書き方(10) 序章について
皆さまどうも。無事に連載10回目を迎えた武岡です。
今回は原点に返り、文字通りお話の初め、「序章」について語りとうございます……。
序章は本を手に取って最初にその本の印象を決める重要ポイントなのであります。なので、手抜かりなく準備すべきポイントの一つであります。(他を手抜きしろということじゃあありませんよ!)大事なファーストインプレッション。まずは最初の山場です!
・序章とは?
物語は第一章から始まるんでしょ?とお思いの方。確かに物語が動き出すのは第一章ですが、その前に前菜が要るのです。そう、コース料理のように!
その前菜として物語の滑り出しをこの序章というものが担います。
ここで行えることは、「物語の主題をにおわせる」「物語の雰囲気を知ってもらう」の二つです。どういうことなのか?その書き方を追って行きましょう。
・序章の役割を意識しよう
では、「物語の主題をにおわせる」序章とは?拙作「鬼なるもの」第一部の序章を見てみましょう。
鬼、と言われて何を想像されるだろうか。立派な角だろうか、腰巻き一張で巨大な棍棒を振り回す姿だろうか。あるいは蜘蛛のような異形の姿だろうか。実態はどうだったのだろう。ある男の人生の一幕に、それは垣間見えるかもしれない――。
ド直球ストライクですね!「鬼なるもの」というタイトルと合わせて、この物語の主題が「鬼」であることを明示しています。(中身が気になった方、Amazonさんで好評発売中であります!)「これからこんなことを語っていきますよ」という前振りなわけです。
では、「物語の雰囲気を知ってもらう」序章とは?これは拙作の中に適当な出だしのものがないので、ここで作ってみましょう。
――突然、雨が降り出した。周りは煙り、視界がぼやける。どうしてこんなことになったのだろうか。僕は何を間違えたというのか。ああ神様、どうか教えてください。
いかがでしょうか。詳しい内容はわからないまでも、何となく悲しい結末を感じ取ることができるのではないでしょうか。このように物語の空気感やにおいを感じ取らせる、というものがこれです。
この「序章の与える印象」をしっかり把握し、物語の滑り出しを慎重に決めていきましょう。ここでこの物語を読むかやめるか、読者が決定してしまいます。どちらの形式がよりその物語に合っているのか、判断力が問われます。
・刺激的な幕開けを!
せっかくの大事な物語の、その幕開け。「え? 何? どういうこと?」と読者を引っ張り込む引力のある文章を意識しましょう。
そのために有効な手法はいくつかありますが、代表的なものは「謎かけ」「問いかけ」「ぼかし」などでしょうか。ここでわざとクライマックスをあえて見せる、というのもありますね。どうしてそうなった?!と読者を驚かせて引っ張り込む手法です。
試行錯誤を繰り返し、より効果的に読者を誘い込む文章をここで見せましょう。そう、花の蜜のように甘美、時に香辛料のようにピリリとスパイシーな文章を!読者に!魅せつけるのです!
・まとめ
序章は割と文章の中でも軽視されがちな部分でもあります。ですがここが大事な勝負所その1です。ここで読者を、おっ、と引き込んで初めて本文への道が読者の前に広がるのです。魅力的なお誘いで読者をモノにしましょう!
それでは、また。
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