小説の書き方(8) キャラクター②

こんにちは。いつもの武岡です。

このシリーズの第5回目でキャラクターの作り方について自論を語らせていただきました。

本日は組み上げたキャラクターをいかに物語の中で動かすか、に焦点を当てていきとうございます……。


・キャラクターを動かそう

物語はキャラクターの動き、それによって引き出される反応の連続でできていると言っても過言ではありません。そんな時、どうキャラクターの手足を動かすのか。

答えは簡単。「そのキャラクターになりきること」です。

「は? どういうこと?」と思った方。字面通りですのでご安心を。主人公なら主人公の目線になり、同じ身長になり、同じ価値観を持って、何をどう考えているのか、この場合はどう行動するのか頭の中で演じるのです。キャラクターが必殺技を声を張り上げて叫ぶ時も、泣いてしまったヒロインを慰めるときも、貴方がキャラクターの着ぐるみを着てそのキャラクターらしさに迫るとき、キャラクターが動き出します。


・そんなの無理……

もっと理論的に頭でキャラクターを動かすことはできないのか?と、キャラクターを演じることに恥ずかしさを覚えるお年頃な方々は思うことでしょう。

残念ながら、理屈のみでキャラクターを動かすことは不可能です。

なぜなら、我々が描くのは「人間」であり、人間とは「いつも理屈に基づいて行動する生き物じゃない」からです。どんなにクールな人でも、誰かが死ぬときには悲しみに涙し、場合によっては不条理に激高するのです。このように感情は理屈だけでは描けないものであり、ただ単純なものでもないのです。時・場所・場合などによって複雑に変化し絡み合うものです。

だからこそ、「キャラクターになりきる」=「キャラクターの目線で物事を見る」という行為は必須なのです。そうでなくては行動に奥行きが出ず、複雑な感情を描くことはできないからです。


・自己投影とは違うの?

作者がキャラクターになりきるってことは、大なり小なり作者の人間性がキャラクターに出ちゃうんじゃないの?

そこは仕方がありません。そもそもキャラクター設計の時点で作者の好みや趣味が少なからず反映されるものであり、完全に客観的に作られるキャラクターなんてモブくらいのものです。そこまで行くとほぼ舞台装置と言っても過言ではないところですので、そこに大事なキャラクターが落ちて行かないように気をつけましょう。

「自己投影」と「なりきり」は逆の立場にあります。「なりきり」は作者がキャラクターの視線に合わせることを指しますが、「自己投影」はキャラクターを作者の視点に置くことです。もちろん作品によっては主人公に「自己投影」を読者がやって楽しむという形式もあるにはありますが、当然ながら「そのキャラクターとしての魅力」は落ちてしまいますね。そういう意味でも危険と隣り合わせの楽しみ方だと言えるでしょう。


・まとめ

どうでしょう。「いざ作ったキャラクターが全然動いてるところが想像できない」問題が少し解決に向かったのではないでしょうか。

頭の中で必殺技名を叫ぶ分には何も恥ずかしくありませんので、心置きなく中二病をいかんなく発揮し、カッコいいセリフでキャラクターを動かしてみてください。

それでは、また。

武岡瑞樹のひとりごと

一次創作の小説書きのつぶやき。

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