小説の書き方(2) SF・ファンタジー
どうも。武岡瑞樹です。
最近巷じゃ大流行りですよね、異世界転生系。どこでとは言いませんけれど。
けれど、簡単なようで現代もの書くよりよっぽど大変ですよファンタジーって!なにせ、舞台の隅から隅まで現実とは違うものですから、説明が大変!さらにそこの常識に倣った行動をするキャラクターたちを動かさなきゃならない!挙句の果てにはその世界の常識をいかにして「説明」ではなく「描写」するか考えなければならない!
けれどそんな非日常に人は引かれてしまうもの。描きたくなるのも人の性ゆえ。
今回は書き方、というよりは書くに当たっての難しい点、考慮すべき点、そんなものを語りとうございます……。
・「舞台」が難しい!
SF・ファンタジーのキモの一つ、舞台設定。これを失敗すると悲惨です。矛盾とご都合主義の塊が出来上がります。いかに現実とかけ離れた世界に読者を引き込むか。ここが勝負どころとなってきます。私がよくとる方法としては、「物理法則を極端に捻じ曲げない」作戦です。えっ、それファンタジーになるの?と思われた方。絶対いる。けど、なるんです。例えば魔法で何でもできる世界があるとして、キャラクターが常にみんな無重力状態にあることはまあありませんよね?大体の人は地に足つけてますよね?要は、そういうことです。奇抜すぎる物理法則は使わないほうが無難です。じゃあ魔法とか超能力とかはどうすんだよ?となりますよね。そういう奇抜な能力を使う描写には、必ず説得力をつけてください。もう一度言います。「説得力を」つけてください。「神様になんか知らんけどもらった」「突然すごいパワーに目覚めた」は「説得力」じゃありません。例えば神様に何か能力をもらう場合には、それに見合う試練を与えるとか。そうじゃないとドラマが生まれないので、文字通り「お話にならない」のです。楽してファンタジー世界は成り立たないのです。一から十まで筆者の思い通りになるから楽だろって、そりゃ甘く見すぎです。一から十まで説得力をつけて描写しないといけないんですよ!ファンタジー世界は現代ものより過酷な試練とセットなのです!ここ、テストに出ません。
・「キャラクター」が難しい!
舞台の次くらいに悩むのはやはり人、キャラクターでしょう。基本的に人間だけ書けばいい現代ものとは違い、登場する職業・人種・種族は様々。当然それだけ価値観も多様化しますので、描写が大変です。同じ人間でも剣士と魔法使いでは全然違う価値観ですし、人間と妖精、小人、巨人、獣人、スライム、宇宙人ではやはり考え方や行動理念が違ってきます。どういうキャラクターが登場して、このキャラクターには同情的だけどこの種族には敵対的、など、ち密な関係性をたくさん把握する必要性が出てきます。基本的にファンタジーは登場キャラが多い傾向にあるので、相関図もかなり複雑になりがちです。特に異種族が出てくる場合は、キャラの感情を把握しきるのが難しい……。そこをどう描写していくかが腕の見せどころであり、作品の面白さにも直結しますから、気合の入れどころです。キャラクター造形は個々の設定だけでなく他者との関わりの中にも表れやすい点は頭の片隅にでも置いておいて損はないでしょう。それから、多くの主人公が持つ「特異能力」についてもちょっぴり。これについては「ご都合展開にならないように細心の注意を払う」しかないでしょう。他者が持ちえない特殊能力をいかにうまく使わせて読者に膝を打たせるか。それもまた、作者の腕の見せ所ですので、ねるねるねるねのごとく設定・描写を練りましょう。
・「描写」が難しい!
さて、これも難関。「描写」。一番の悩みどころは「どこまで専門用語を使っていいの?」でしょうか。専門用語も、現実世界でどれぐらいお約束になっているかどうかで、例えば「魔法」とかだったら読者も即座にピンとくるでしょうが、中二病を盛りに盛って考え出されたカタカナ用語なんかは注釈を入れたほうが良いでしょう。入れ方に関しても難しい点があって、「説明にならないように入れなければならない」のですよ。例えば「エクスカリバーが剣ではなく鞭だった世界」においては「これがエクスカリバーよ」「エクスカリバー…剣だと思っていたけれど、その実しなやかな鞭だったとは……」では説明です。「これがエクスカリバーよ」「えっ、剣じゃない?!」「そうよ、エクスカリバーと言えば鞭。当たり前じゃない」……これもあまりいい例ではない気もしますが、こんな感じのいわば自然さが必要になって来ます。(エクスカリバーが鞭という世界は実際ないと思いますが。)これが一から作った造語になってくるとさらに難問です。いかに自然な会話・モノローグで物事を読者に伝えるか。やはりこれも腕の(ry
・まとめ
えー、これにていかにSF・ファンタジー作品を書くことが大変かおわかりいただけたでしょうか?これらをすべて乗り越えて傑作を生みだされる先生方には頭があがりません。私もファンタジーを書く奴ですが、毎度躓いてばかり、編集さんに赤チェックを入れられる毎日です。精進します……。
それでは、またどこかで。
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