小説の書き方(3) 現代もの

皆さまどうも。懲りずにまた書いていこうと思います。

今回のお題は「現代もの」。圧倒的普通……!

しかし普通と侮ることなかれ。現代ものは普通であるがゆえに難しいのです。お前小説は難しいばっかり言ってるな。読者を脅かすな。

とは言っても、前回のファンタジーに比べれば敷居はちょっぴり低くなるのではないでしょうか?まずはここから、という方も多いはず。私もそうでした。(そんなこと言うならこっちを先に書けよな。)

ということで、私たちが生きる今と並行する物語「現代もの」について語っていきませう。


・小説の登竜門?

さて、現代ものを書くとして、やはりその社会の常識を登場人物が初めから共有してくれている、というのは楽でいいですね。主人公が海外に渡って文化ギャップにもまれながらも……という話でもない限り、基本的には常識とか暗黙の了解の説明が要らないのは良いことです。ただし、舞台が日本の場合のみ。外国を舞台にしようと思うと、その土地の歴史・文化・風習等を事前に調べ、日本人読者に伝えなければなりません。


・普通だからこその難しさ

「私たちとよく似た世界を書くんだから、簡単じゃない?」と思われるかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。私たちは「普通」を書きつつもそこに「ドラマ」という特殊な事象を書き出さねばならないのです。日常系漫画でもただ淡々とキャラクターの生活を描いているわけじゃないでしょう。学生なら行事、テスト、友情、恋。様々な人生の波を描いているからこそ面白いのです。そういった「ドラマ」を「普通」の中に見出すのって実はけっこう大変なのです。しかもありきたりだとあっという間にN番煎じ扱いです。いかにオリジナリティを出せるかも勝負なのです。


・普通の中に見出せる最も大きなドラマって?

先に正解を述べましょう。「恋愛」です。古今東西、これは変わりません。

何だこの恋愛脳のスイーツ野郎、と思われるかもしれません。が、それも致し方なし。「恋」というものは、人の人生を一番大きく揺り動かす感情なのです。だからこそ、あまねく物書きたちがこぞってこれをテーマに据えるのです。みんなも好きでしょ?恋愛物語。


・「は? 恋愛とかくそくらえ! もっと硬派な作品が書きたいんだよ!!」

という方ももちろんおられるでしょう。その場合はこれです。「現代に起こりうる、かつ奇抜な状況で勝負する」。こう書くと一気に敷居があがった気がしますが、何のことはない。主人公の周りに奇抜さを振りまく、ということです。

拙著「プラトニックラブ コレクション」の一編「僕たちは旅するように息をする」を、お恥ずかしながら例にあげさせていただきますと、主人公はごく平凡な大学三年生なのですが、ひょんなことからバイト先で出会った女性客に地元を観光案内してくれないか、と頼まれる、というのが冒頭のあらすじです。(どんな話だよ、と思ったそこのあなた。今なら紙も電子書籍もございます!Amazonさんからどうぞ!)非日常じゃん、と思われたあなた。そうです。「現実的な非日常」も立派な現代ものです。

この他、例えば闘病生活、スポーツで弱小からのし上がっていく、等ドキュメンタリーでありそうな題材も「現代もの」にできそうですね。このようにドラマはそこかしこにコロッと転がっているものですが、いかんせん道端の小石のような自然な体でいるので見つけにくさも随一です。いかに道端の小石に意識を向けられるか。これはもう作者のアンテナの感度を試されていると言っても過言ではありません。


・まとめ

いかがでしょう。「現代日本を舞台にゆるっとした話が書きたいなあ」なんて方を脅すような真似をして大変申し訳ございません。ですが、これだけはお伝えしたい。「ゆるっとした話にも必ずドラマが存在するんだ」と。ドラマあってこそのエンターテイメント、なのです。それ抜きにだらっと話を書いてしまうのはもったいない……!「何々?」と人を振り向かせるお話を皆期待しているものですから。

需要があれば次回は歴史物についてお話しできればいいなあ(願望)

それでは、また。

武岡瑞樹のひとりごと

一次創作の小説書きのつぶやき。

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